「訪問看護の家族支援って、どう関わればいいの?」「どんなことに気を付ければいいの?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。実際、利用者さまへのケアとはまた違った難しさがあり、家族支援に苦手意識を持っている方も少なくありません。しかし、訪問看護では利用者さまへの支援と同じように、ご家族への支援も重要です。そこで今回は、訪問看護における家族支援について、関わり方へのポイントも含め解説します。訪問看護では「ご家族」も大切な支援対象訪問看護では、利用者さまへのケアだけでなく、ご家族への支援も同じくらい重要です。利用者さまの一番近くで日々の様子を見守る存在であり、私たちよりも小さな変化に気づいていることもあります。また、今後の方向性を考えるうえでも、その思いや意見は欠かせません。そのため、ご家族の協力を得ることは在宅生活を支えるうえで必要不可欠です。 一方で、介護を担う側の負担は決して小さくなく、さまざまな課題を抱えているケースもあります。高齢化に伴う「老老介護」や、子どもが家族の介護を担う「ヤングケアラー」という言葉が広く知られるようになったことからも、その深刻さがうかがえます。適切な支援につながればよいものの、そもそも「どこの、誰に相談すればよいのかわからない」という悩みを抱えたまま、介護を続けている方もいます。だからこそ、自宅を訪問し、利用者さまだけでなく生活環境も直接見ることができる訪問看護においては、ご家族から発せられる「助けて」というサインにいち早く気づくことが大切です。利用者さまを支えるだけでなく、その方を支えているご家族にも目を向けることが、安心して在宅生活を続けるための支援につながります。言葉の裏側にある「本当の思い」に目を向ける家族支援をするうえで大切なのは、ご家族が口にした言葉だけで判断するのではなく、その言葉の裏側にある「本当の思い」に目を向けることです。たとえば、「大丈夫です」と話していても、実際には大きな不安や介護の負担を抱えていることがあります。これまで人に頼ることなく頑張ってきた方ほど、「助けてほしい」と言うことに抵抗があり、つい「大丈夫」と答えてしまうこともあります。一方で、「なんでこうしてくれないの」「もっとこうしてほしい」といった不満の言葉が出てくることもあります。しかし、こうした言動を単に「クレーム」と捉えてしまうのは適切ではありません。その背景には、「もっと支えてほしい」「わかってほしい」という期待や、私たちを信頼しているからこその思いが隠れていることもあります。だからこそ、「この言葉にはどんな意味があるのだろう」と考え、ときには自分たちの関わりを客観的に振り返ることも大切です。もちろん、気づいたことを一人で抱え込む必要はありません。事業所のスタッフをはじめ、ケアマネジャーや主治医などとも情報を共有し、多方面からご家族を支えていくことが重要です。 医療の知識を伝える前に、まずは一人の人間として向き合う。看護師や専門職という肩書きだけではなく、「この人になら本音を話せる」と思ってもらえる関係を築くことは、長く続く在宅医療のなかで、ご家族の心を守るための大きな力になります。 単に「支える」のではなく、一緒に在宅生活を考える訪問看護における家族支援では、単に生活を「支える」のではなく、ご本人やご家族と「一緒に考える」ことも大事です。「支えることと何が違うの?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。必要なケアを行い、生活を支えることは訪問看護の大切な役割ですが、言われたことをただ行うだけではなく、ときには私たちから提案しながら、よりよい方法を一緒に考えることも必要です。 たとえば、終末期の利用者さまが口から水分や栄養を取れなくなり、ご家族から「何も口にできないのはかわいそう」「点滴はできないんですか?」と相談を受けることがあります。もちろん、ご家族の意思を尊重し、医師の指示のもと点滴を行うことは可能です。しかし、それがご本人の身体にどのような影響を与えるのか、ほかにできることはないのかを考え、ご家族に伝えることも私たちの重要な役割です。ただし、ここで忘れてはならないのは、あくまでも在宅生活の主役はご本人とその家族であるということです。どこまで尊重し、どこまで提案すべきなのか、その線引きの難しさも訪問看護ならではと言えるでしょう。 私たち自身も、日々スタッフ同士で話し合い、他職種から意見をもらいながらケアに向き合っています。 ご家族の想いをくみ取りながら、必要なことは提案する。そして、その中で「今できる最善の方法は何か」を一緒に考えていく。訪問看護では、ご家族の「伴走者」になることが大切なのです。 まとめ訪問看護でご家族の「伴走者」であるためには、不安や負担にも目を向け、言葉の裏側にある本当の思いをくみ取ることが大切です。そして、ただ支えるだけではなく、ご本人とご家族の意思を尊重しながら、必要な提案を行い、ときには他職種と連携しながら、そのご家庭に合った在宅生活をともに考えていきます。アップルパイ訪問看護ステーション/わかちな訪問看護ステーションでも、一人ひとりの声に耳を傾け、安心して在宅生活を続けられるよう支援しています。訪問看護に興味のある方は、ぜひ一度、私たちの現場を見に来てください。